「ハッピーバースデー!!」 アメリカは突然窓を外して、そこから侵入すると(靴!靴履いたまま!この馬鹿!)そんなことを言いながら騒ぎ始めた。うちに来るならもうちょっとちゃんと、玄関から入ってきてほしい。もうこの際アメリカなら不法侵入でもなんでもいいから。いい加減同じことを繰り返し言うことにも飽きてきたので、私はアメリカに聞こえるように深い溜息をついた。するとアメリカは「溜息をつくと幸せが逃げるんだぞ!」と、ベタなことを言い始める。誰のせいだ誰の。 「…私、誕生日じゃないんだけど」 「ハハハ、そんなこと知ってるに決まってるだろう!」 「はぁ、…じゃあなんなの一体。また窓壊して…」 「今日は、俺の誕生日さ!」 だからプレゼントをもらいにきたんだぞ!とアメリカはさも当然だとでも言うように私にちょーだいという手を出す。なんてずうずうしい奴…。私は適当にテーブルに置いてあるものを手に取り、「はいよ」とそれを投げ渡す。アメリカは軽々とそれをキャッチすると「なんだいこれは」と苦々しい顔をした。 「イッツジャパニーズセンベイ」 「そういうことじゃないよ!ヒーローの誕生日にプレゼントが煎餅一枚ってどういうことだい!?」 「前に美味しいって言ってたじゃない」 「言ったけど、それとこれとは関係ないだろう!?」 そもそもいきなり連絡もなしにうちに来て、プレゼントたかるようなやつに煎餅一枚でもあげたのだから、十分だと思う。私がそういうと「俺はこんなのじゃ満足しないんだぞ!」とアメリカはさらに我儘を言う。つーかこんなのってなんだ、こんなのって。人が折角あげたのに。「じゃあ何がいいの」私は苛々しながらアメリカに聞くと、アメリカは考えるように顎に手を添え宙を見た。それからぴこんと頭の中に何かがひらめいたらしく、眼を輝かせると、いきなり私の手を引いてもう片方の手で腰を引き寄せてきた。私とアメリカの距離は一気に縮まり、ゼロになる。何するんだこの変態。 「がほしい!」 「ふざけんなこのセクハラ男」 「セックスがしたいって言ってるわけじゃないからいいじゃないか。したくないわけじゃないけど」 「それ、言ってるようなものでしょ」 「少し違うんだぞ!」 腰に回された腕が少しだけ緩められ、密着していた体が離される。それでも腰には腕が回ったままで、アメリカはもう片方の手で私の顎を掴み、くいっと上へと強制的にあげさせる。アメリカの顔が異様に近い。えっ、ちょっ、まさか。いきなりのことでどうすればいいかわからず私はギュッと目と口を紡ぐ。はたからみたらきっとものすごく不細工だ。だけどそんなこと気にしていられなくて、心臓の動くスピードを上げながら、そのままフリーズしていたら、思ってもいない場所に触れられた。思わず目を開けるとアメリカの太く男らしい首が間近で見えた。 「俺はが好きなんだ。だから、俺のものになってほしいんだぞ!」 唇が離れると、アメリカの笑顔と無駄に直球な言葉、それから額に触れた感触だけが私を支配した。私は額を押さえながら、その触れた部分の熱を感じる。するとこの体制でいることが耐えられなくなり、私はアメリカの胸を思い切り押し「誰がお前なんかに、やるか!煎餅返せ、プレゼントもなし!」と叫んでアメリカに背を向け歩き出す。アメリカと同じ部屋にいたくない。一緒にいると私の心臓がどうにかなってしまいそうだ。なんでこんなに汗をかいてるのか、風もあるのに頬が熱いのか、わからないままその部屋を出ようとするとアメリカの声が私を引き止めた。 「!プレゼントはいつでもいいんだぞ!」 そんなもの、この先一生やるもんか。 無期限
君専用チケット (君のためならいつまでだって待ってやるさ!) [2009/07/11][Happy Birthday!!] |