「中国さん」 呼ばれたかと思うと急に首元に腕が周り、頬に柔らかな弾力とリップ音が鳴る。一瞬何が起きたかわからなくて呆然としてしまったが、理解すると急に頬が熱くなる。それをやった張本人はというと、満足そうに微笑んでいた。 「アイヤー!!な、なななんあるか!?年頃の女が、はしたねぇあるよ!」 「何って、欧米の挨拶ですよ」 「あへん野郎のとこの挨拶なんか真似すんなあへん!」 こっちの心臓が持たないある!そう口が滑りそうになるのを必死でこらえ、に言い聞かせるけれどは「誰もイギリスさんに教わったなんて言ってないじゃないですか」と不満気に口を尖らせた。例え英國以外…法國や美國だとしても許せないある。教えたということは、の頬にも同じようにあいつらが…あーとんでもねぇことある!我が大事に育てたを汚されていくのは許せねえある!我が怒っているのに対し、はというと「そんな大したことじゃないですよ。向こうじゃあ親しい人にこうするのは当たり前だそうですから」と笑っている。甘いある。 「あの変態どもが下心なしでそんなことするはずねえある」 そもそもあいつらがに下心なしで近付いてくることなんて天地がひっくりかえっても起こるはずがないある。どこもかしこもを狙う変態国家だらけ。我はそんなやつらをを引きはがすのがいつも大変あるよ。そんなことを知らないは、「じゃ、じゃあ」と何故か突然我の服の裾をきゅっとつまんだ。俯いているので顔ははっきり見えないが、頬が赤みがかっているのが見える。そういう動作があいつ等に勘違いさせている原因だともは全く気付かない。 「それなら私も、です」 「…は?」 我が反応しきるよりも先にの体が動いて、肩に片手が置かれる。と思った瞬間に先と同じ軽やかなリップ音が鳴って、離れると鼻先のが恥ずかしそうに目を伏せる。未だに我の服の裾に繋がれたままのは、赤みがかった頬を隠すように頭を下げた。 「…お、おうべいのあいさつ、ですからね」 いくら欧米でも唇にキスはしないあるよ。頭が俯いたままのせいで顔が見えないけれど、髪の毛から覗く耳が真っ赤なことから今のの顔が容易に浮かんだ。「」熱い頬に手を添えて、上を向かせた。予想通りの顔は真っ赤で、自分からしたくせに羞恥心のせいか瞳が潤んでいる。そんな顔されると困るある、いろんな意味で。 「年頃の女が、はしたないあるよ」 こういうことは男の我の方からやらせるよろし。 |