目の前にあるプリントを見て、赤ペンでマルやらバツやらを付け足していく。その全体を見て頭を抱えたくなる現状だが、隣にいる今年受験生の幼馴染は自信満々そうな笑みでこちらを見つめている。目が「どうでしょ、80点はかたいよね!」と言っている。何処からそんな自信が生まれてくるのだろう。それを見ていると非常に残念な気分になる、なんてたって非常に残念な結果なのだから。マルの数よりもバツの数の方が多いなんて、俺の教え方が下手なのだろうかとも疑ってしまうほどだ。 「…へい、45点」 「えええー!なんで!?」 「そりゃあ勉強不足だからだろ」 「嘘だぁ!」 は返されたプリントを受け取ると、その点数を睨みつける。それから、一気に落ち込んだように肩を落とした。落ち込みたいのこっちのほうだって。こんなに教え込んでるのに、ほんのちょっとしか成長していないところとか。本人が一生懸命やってることはわかるんだけど、結果がこれじゃあ溜息も吐きたくなる。これで本当に西浦に受かるのか、正直不安だ。 「西浦よりもランク落とせばなんとかなるかもしんねーけどなぁ」 「それはやだ」 「……そもそも、なんでそこまで西浦がいいわけ?」 そりゃあ自転車で行ける距離ではあるし、私服校で安上がり…ってそれは親の意見か。色々思考を巡らせながら聞くと、は少し顔を赤らめて「……たいから」…よく聞こえなかった。俺がもう一度と催促すると、は顔をゆでたこみたいにして、「梓兄のバカ」と言われた。は、はぁ?意味わかんねえ。 「乙女心のわからない男は嫌われるんだよ」 「……が乙女?」 「乙女です!失礼な」 そうやって頬膨らまして拗ねてるところは乙女っていうよりただの子供だな。たったひとつ違いだけど、いつまでたっても子供っぽい。そう思いつつも口に出すとさらに面倒なことになるので、それは心のうちに秘めておくことにした。それから「はいはい、俺が悪かった」と言って宥めてやると、「子供扱いしないでよ」と結局機嫌を損ねてしまった。こうなると放っておくのが一番だ、と俺は「じゃあ今日はここまでな」とだけ声をかけて立ち上がろうとしたら、手を引っ張られて転びそうになった。 「っぶね、」 「梓兄、わかんない?」 「は、何が?」 混ざらない色たち
「私は梓兄と一緒にいたいの!」 [2009/04/22][title by インスタントカフェ] |