と泉ってさーいつから付き合ってんの?」
「「はあ?」」


突然浜田がとんちんかんなことを言い出して、思わず素っ頓狂な声を出したら、あれ俺なんか変なこと言った?とでも言いたげな視線を向けられた。言ったよ、言いましたとも。驚いてしまったわたしは思わず手に持ってたメロンパンを机の上に落とし、たぶん同じ心境の泉はちゅーっと口につけていたストローを外して皺をよせている。


「や、だってお前ら仲いいじゃん」
「わたし浜田とも仲いいつもりだったんだけど」
「そーゆうんじゃなくて!えっと…あ、ほら、それ!」


浜田は人差し指をピンとこちらに向ける。正確には、泉の持ってるいちごみるくとわたしの持ってるメロンパン。このメロンパン、もともとは泉のだったんだけど、わたしも買おうとしてたらもう売り切れちゃっていたので泉に一口貰っていたところのものだ。いちごみるくもしかり(甘ったるいから一口で充分なんだってさ)。浜田はそれらを指差して「間接キスじゃん」と言った。


「そんなこと言われたって…ねえ?」
「んなことでいちいち騒ぐような歳じゃねっつの」
「いや、まだ騒ぐ歳だと思うけど」


だってチエコとマキとだってよく回し飲みしてるよ?と告げると、同性と異性じゃ感覚が違うの!と熱弁された。浜田って結構純情だよね。たぶん泉といつもやってることを同じように浜田にやったら、少し顔を赤くして戸惑うんじゃないかな。そういう反応を想像して、思わず笑ってしまった。泉は何笑ってんだコイツ的な視線を送られて、すぐ戻したけど。泉はもう一口いちごみるくを飲むと、サンキュと言いながら机に置いてそれをわたしの方へと回した。わたしもんーと適当に返事をしながら、メロンパンを泉に渡す。


「大体、いつもやってんじゃねーか」
「いつもやってるから付き合ってるって思ったんだけど」


そっか、わたしらって周りからそういう風な目で見られてたんだぁ。そりゃあ、最初は気にはしたけど。泉は気にしてなさそーだから、まあいっかって思っちゃったんだよね(こういうの気にしないのって、普通田島とかだと思うんだけど)。机の上のいちごみるくに手を伸ばし、それを口元へ近づける。「間接キスじゃん」と浜田の声がリフレインして、途端に恥ずかしくなる。大好きないちごみるくなのに、それを口につけることに抵抗を持ってしまう。嫌っていうわけじゃないんだけど…考えれば考えるほど顔に熱が昇ってきてしまう。「どしたー?ぼーっとして」とのんきに話しかける浜田(誰のせいだと!)に、なんでもないと必死に隠すけれど肝心なところでかんでしまい、誤魔化すように浜田から視線をそらした。その先には泉がいて、泉もわたしと同じように頬が少し赤くて、わたしと目が合うと誤魔化すように浜田の椅子を蹴りあげる(ざまーみろ)。わたしは震える手を押さえながら、ゆっくりと飲み口に触れた。






(泉は知らなかったかもしれないけど)




[2009/03/09][Thanks 50,000!!][七瀬さんへ!]