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ふと眼が覚めると、リビングにまだ明かりがついていることに気づいた。マスター、またパソコンやってるな。どうせ動画サイトやら非公式ファンサイトやらを回っているのだろう。今日も仕事だって言うのに、何やってんだか。布団の傍にある目覚まし時計を手にとって見てみると、時間帯はまだ六時前だった。無視して二度寝しようとも思ったけれど、やめた。起き上がってリビングへ向かうと、マスターはパソコンの前でうつ伏せになって寝ていた。やっぱりか…こんなとこで寝てたら風邪ひくよ、バカマスター。前に置いてあるパソコンにはまだ電源は入ったままだ。…あれ?画面が予想していたのと違う。動画サイトでも非公式ファンサイトでもなく、DTM画面。パソコンの隣には黄色とオレンジ色のMDが置かれていて、それぞれに「レンオリジナル」「リンオリジナル」と少し丸っこくて女の子っぽいマスターの字で書かれている。 マスターを呼びながら肩を揺らした。「うーん」と気の抜けた声が聞こえてから少し経つと、うつ伏せだった体をソファーの上で無理矢理寝返りする。うっすらと瞼が開いてきて、その視界の中に俺が映った。するとマスターはいきなりパッと目を見開いて、ゴツンと俺に勢いよく頭突きした。 「いってええっ」 「いっ…じゃ、じゃなくて!レン!今何時!?」 「…心配しなくたってまだ六時前だよ」 俺の返事を聞いてマスターは安心したように、ほっと息を吐いた。「そんなことより痛いだけどー」起こしてやったのにいきなり頭突きされたことに腹が立って、文句を言うとマスターは苦笑いしながら「ごめんごめん。レンが起きるのっていつも遅いからさあ」とぶつけた部分に優しく触れて撫でまわす。俺だってたまには早起きくらいするっつーの。でもマスターの様子を見てると、もう怒る気にもなれなくて、手も振り払えずにそっぽを向いた。 「それよりさ、マスター」 「ん、何かな?」 「これ。マスターが作ったの?」 MDをマスターに見せながらそう聞くと、マスターは顔を真っ赤に染めて無理矢理俺からそれを取り上げて、後ろに隠した。「こ、こここれ、これは、ダメなの。うん、ダメなんですよ」と必死に何か言っている。マスターの視線はあちこちに向けられて、でも決して俺と合わせようとはしない。「だめってなんだよ。それ、俺たちのオリジナルだろ?」ダメダメ、と言われてむかっときたのでマスターを睨みつけながら問い詰めるように言うと、マスターは少したじろいで「こんな予定じゃなかったのにっ!」と脱力した。 「本当はね、今日家出る前にこっそり枕元に置いておく予定だったんだよ。なのに、なんで今日に限って早起きするかなぁ…!」 「そんなの、俺のせいじゃないだろ」 「だってこんな形で見られるなんて恥ずかしすぎる!もうやだ、ほんと」 マスターは俺から少し離れて、顔をクッションに埋めながら、やだやだもう見ないでよーとわめいている。だいたい、恥ずかしいってなんだよ。「だって初めて作ったから絶対変だし!自分の作品を他人に見られるのって恥ずかしいもんでしょ!」とか言ってるけど、俺には全然わからない。だって、俺たちにとってはマスターのオリジナル曲ってどんなものでも誇らしいものだろ、恥ずかしいことなんて何もない。でも、如何言ってもたぶんマスターには通じなさそうだ。マスターにそっと手を伸ばして、その柔らかな髪の毛に触れて、さっきマスターがやったように優しく撫でた(といってもマスターみたいに上手くはやれないけど)。 「あのさ、マスター。どんなものでも俺、嬉しいからさ」 「……」 「ありがと」 「…これだから、直接渡すの嫌だったのに」 お礼なんて言われたらさ、照れるじゃん。マスターはクッションから顔を離さなかったけれど、耳まで真っ赤だった。マスターってそういうとこ可愛いよな、と思わず漏らすと天然たらしめと呟いたのが耳まで届いた。 凛々しく朝六時
「でも、なんで今日?明後日じゃなくて」 「インスト曲はクリスマスプレゼント。調教することは誕生日プレゼントだから」 「…マスターって結構ちゃっかりしてるよね」 [2009/01/07][Happy Birthday!!] |