書き終わった日誌を渡しに職員室まで行ったら、清々しい笑顔の先生が「じゃあこれもよろしくな、日直」と言って何故かわたしに大量のプリントを渡してきた。これを女子一人で運べって?運べない量ではないけど、一人では少し辛いものであるのは確かだ。先生の人使いの荒さにため息をつきたくなる。友達は、わたしが日直だからと言って先に帰ってしまったし(薄情なやつめ)、そもそも教室に最後まで残っていたのがわたしなのだから今手伝ってくれる人なんていないだろう(先生はこれから会議があるから無理だと言っていた)(薄情なやつめ!)。憂鬱な気分を抱えながら、プリントを落とさないよう、かつ迅速に足を進めていた。階段の前まで来ると、まだ残っていたらしい男子たちが何人か駆け降りてきた。が、残念ながら知り合いではない、頼めないなー。なんて思いながら一歩踏み出すと、男子のうちの一人と肩がぶつかり、そのままバランスを崩してしまった。男子はそのまま駆け降りてしまって、残ったのはわたしと散らばったプリントたち。…今日は厄日か。謝罪の一つもないまま行ってしまった男子に恨みを覚えつつも、それをどこに向ければいいのかわからず、代わりに大きく溜息を吐いた。あとで先生に賠償金請求してやる、とか考えながら仕方なく散らばったプリントを拾い集める。 「ほら」 少し低めの声が、しゃがんでいる自分よりも高い位置から聞こえて、少し顔をあげるとそこには落ちたはずのプリント数枚が束になって自分に差し出されていた。さらにそこからまた顔を上げると、大きくてくりんくりんの目とほっぺたのそばかすが目に入る。予想外の人物の登場にわたしは驚き、そのまま固まってしまった。すると目の前の人物―――泉は「いらないのかよ」と言い出し始めたものだから、わたしは急いで「いる!」と答え、次いでお礼を言った。泉は「別にいいけど、これくらい」とつんけんした態度を返した。人が素直にお礼言ってるのに、どういたしましてくらい言ったらどうだ。 「それ、先生に頼まれたのか?」 「うん。日直のついでとか言われてねー」 「ふうん。教室まで?」 わたしが首を縦に振ると、泉はそっけない返事をし、わたしとプリントを交互に見やる。それから突然「半分だけ持つ」と言い出して、半ば強引にわたしからプリントを奪い取った。さっきから泉の行動が突飛すぎて頭がついていかない。呆然としていると泉は勝手にスタスタと歩き進み始めた。我に返ったわたしはいそいそと少し駆け足になりながら泉の元へと足を進めた。泉が持ってくれたおかげで、だいぶ楽になった気がする。わたしがもう一度お礼を言うと、やっぱり泉はそっけない態度で返してきた。 「忘れもん取りに行くついでだし」 忘れ物を取りに行くのが本当だとしても、感謝の言葉くらい素直に受け取ればいいのに。そのまま他愛のない会話を一言二言交わし、教室までたどりついた。教壇の上にプリントを置き、ふう、と一息ついた。それから泉に「鍵、閉めるよ」と声をかけた。けれど泉は動こうとしない。「どうしたの?」忘れ物、さっさと取ってきちゃいなよ。泉はわたしの方へ向き、少しバツの悪そうな顔をした。ちょっとだけ顔が赤いようにも見えたのは、たぶん夕陽のせいだ。 「してねえ」 「…え?」 「忘れもんなんかしてねーよ」 怪訝に思って、なんで嘘吐いたの、と聞いた。泉は少しむっとした表情になって、「察しろよ」と言った。わたしたちの横には、明らかに高さの違うプリントの山がふたつ。 欠けたピ
ー たれもずうにス [2008/10/25][Thanks 50,000!!][那智さんへ!] |