今日の三時間目は数学の先生が出張で自習。自習と言ってもやっぱりプリントというものが配られて、みんなそれをいやいやながらもやる。けれど、やっぱり場に大人がいないせいか、ふざけつつ、喋りつつ、携帯をいじりつつ、と様々だ。隣にいる花井くんは真面目にやるタイプだけど。ブルルル、とポケットの中の携帯が震える。メルマガか何かかな、と思いながらポケットから取り出して、開いてみると送信者はちゃんだった。件名には「あほべ!」と書いてあって、なんだろと思いながら添付されていた画像を見ると、 「ぶっ」 幸い、教室内はそこそこうるさかったので私が噴き出した声(音?)は聞こえなかったようだ。いきなり笑ってしまったことにそこそこ羞恥を覚えながら、もう一度画像を見る。ちゃん、後で怒られても知らないよ…。私より少し遅れて、隣で同じように笑い声を噴き出した音が聞こえる。そちらを見ると、花井くんと眼が合って、お互い苦笑いしてプリントの方に目線を戻す。きっとちゃんのことだから、阿部くんの交友関係で知ってる人全部に送ったんだろうな、今の画像。 *** 「なーなー、!さっきの何!?」 昼休み、田島くんと泉くんが私たちのクラスにやってきて廊下側に設置されている窓から身を乗り出して聞いてくる。あーやっぱり、送ったんだぁ。私はそう思いながらお弁当の卵焼きをぱくり。 「珍しいでしょー。ちゃんと原画も残ってるのよ、ほら!」 「おー。ほんと貴重だな。それ、何人かには売れるんじゃねー?」 「うーん、阿部より泉のが売れる気がするけど。…写真撮影大会でもやる?」 「やらねーよ」 でもちゃんなら本気でやりかねないなぁ、と思いながら今度はたこさんウィンナーをぱくり。「そーいえば阿部、どこ?」と田島くんが教室内をきょろきょろ見渡す。「阿部くんと花井くんは一組でミーティングだって」と告げると、「つまんねーの。どうせなら写真通りの顔にしてやろーと思ったのに」と残念そうに右手で油性ペンをくるくる回す。田島くんならやりかねない。 「ねーねー、さっきからなんの話ぃ?」 「あれ、水谷いたんだ?」 「ひどっ!さっきからいたじゃん、此処に!」 「あははごめんねー」 「っていうか、、水谷には送らなかったんだ?」 「うん。だってクソレに送る価値ないでしょ、あんな貴重なもの」 「それもそーだなっ!」 「ちょ、みんなそれほんとひどい!!ぐれてやる!」 水谷くんならぐれてもなんか怖くなさそうだなぁ、とご飯をぱくり。それで結局、何を送ったのかと水谷くんは私に聞いてくるものだから、私は口の中のご飯を飲み込んだ後に言う。「阿部くんの寝顔写真だよ、ちゃんの落書き付きの」そう言うと、一気に目を輝かせて「何それ!!?見たい、すごい見たい!?どんな落書きしたの!?」と興味津津に身を乗り出してくる。ちょ、水谷くん、近いって!押し返そうとしたら、水谷くんの首根っこが突然掴まれて勝手に離れて行った。掴んだのは、ちゃんだ。水谷くんの首根っこを掴んだまま、もう片方の掌を差し出している。 「一枚百円」 「え、…何が?」 「阿部の貴重な寝顔写真」 「金とるのかよおおお!」 「さっきからその話をしてたんじゃない」 さあさあ、欲しいんだったら出しなさいよ、あたし今金欠なの、早くして!と言わんばかりの勢いに負けた水谷くんはしょんぼりしながら鞄の中の財布を取り出す。え、っと。私が見せてあげてもいいんだけどな、それは言ってあげた方がいい?気付いたら水谷くんの百円はちゃんの手の中。ふふんと上機嫌なちゃんは、「ほら勝手に見なさいよ」と携帯を水谷くんに投げ捨てる。こ、壊れちゃうよ…!水谷くんは嬉しそうに携帯を開いて、目が一瞬点になったかと思ったらすぐにお腹を抱えて笑いだす。「センスありすぎ!」と親指を立てている水谷くんに対して、ちゃんは同じように立てて返す。そのまま二人で話が盛り上がっているのを見ながら、最後の一口をぱくり。ふと、私の上を大きな影が覆う。いつのまにか田島くんと泉くんはいなくなってて、水谷くんとちゃんはその影に気付かないまま阿部くんの寝顔写真について話してた。私は振り返り、その影の主を探す。あ、はな 「てめえええええ、ーーーーーーーーーーーー!!!」 いくんと阿部くんだ。阿部くんの怒声にびっくりしたちゃんと水谷くんは固まってる。二人とも目がヤバイって言ってる。これから起きることは想像できるので、省略。 「ミーティングどうだった?」 「あー…栄口があの写真見せたからそれどころじゃあ…」 「おつかれさまー」 そんなこんなで野球部は、
今日も平和です [2008/07/08][Thanks 30,000!][メール/悪戯/友人|砌さん] |