黒い筒、白い校舎、何処までも澄み切った青い空。今日は卒業日和です。










「一護!第二ボタン頂戴」
「何だよ行き成り!」
「行き成りもなにも、今日はあたしたちの旅立ちの日じゃないですか!だから皆が皆君のボタンを狙っているのだよ、一護ってば結構人気あるんだからん♥だからあたしはその第二ボタンを高く売りつけるんだ☆★
「人のボタンを勝手に売るな!学ランに手をかけるな!」




しっかりとツッコミながらあたしを引き剥がしてついでに卒業証書の入った筒であたしを殴りつける。くっそう、一護めが。この筒は結構痛いんだぞ!加減ってものを考えろ。あたしがボタンに手を掛けていたせいで、ひっぺはがされた拍子にちゃんと締められていたボタンが外されて下に着ている紫のTシャツが露になった。(卒業式だからボタンちゃんと全部止めたのにね!一護は仕方のない奴だなぁ)(お前がやったんだろ!)うーん。でもTシャツじゃなくてYシャツだったら、ついでにYシャツのボタンも外して、かなりセクシーできっと視聴者の皆様も萌えれると思うのですがね!(視聴者とか萌えるとか禁句ワード言ってんじゃねぇぇぇえぇぇ!)(ちゃんの辞書に禁句などと言う文字はなーい!)




「いやん、一護ちゃんたらこっわーい」
「…、その言い方やめとけ?気味悪ぃから
「うふっ、一護ちゃんったらそんなに早く黄泉の国へ行きたいのかしら?」
ごめんなさい
「ま、というのは冗談としてー」
「(何処から何処までが冗談だよ)」
「あたしは一護とは別の高校なんだからさ、またいつ逢えるかわかんないじゃん!だからプレゼントしてくれよ♪」




あたしがそう言うと一護はそのオレンジ色の無造作にされた髪を欠きながら、「…そういえば、そうだったな」となんだかしんみりした雰囲気で一言。嫌だなぁ、一護の奴。あたしにはそんな雰囲気似合わないんだから、勝手に作ってんじゃないよ。




「一護も空座高校でしょー?」
「ああ」
「あたしねー、此処から電車で4時間かかるところの寮にぶち込まれるンだぜ!もう嫌になっちゃう。親に勝手に進路決められてさー」
「……」
「先生も『それがさんのためですよ』とかなんとか言って賛成しちゃうし、ちょっとは子供の意見も聞けっつーの。ま、いいけどね。決まっちゃったもんはしょうがないし」




こらこら折角あたしが場を盛り上げようとしてるのに暗い顔をするなよ一護君。さっきも言ったがあたしにはしんみりとしたこんなシリアスな雰囲気は似合わないんだよ。ふう、一護もしょうがない奴だね。あたしはちょっと背伸びして一護のそのオレンジ色の無造作にされている髪を撫でる。うんうん、泣くな泣くな。(泣かねぇよ!)(何よ、泣きそうな顔してたくせに!)




「顔上げて眉上げ!ンな顔一護らしくないって」
「お前さぁ、こういう日くらいもうちょっと大人しく出来ねぇのかよ」
「出来ませーん。そりゃあさ、寂しくないっつったら嘘だけど。それでしんみりしてたらしんみり高校生略してしん高生になっちゃうよ?うーわー嫌だ」
「しん高生ってなんだよ、女子高生みたいなノリで造語してんじゃねーよ!」
「さっすが一護!こんな時でもちゃんと突っ込んでくれたね!それと読者がわからなかったであろうことをしっかり説明してくれたね!
「お前もうちょっと発言控えろ」
「面倒だから話戻すね☆記念にボタン頂戴!」
「戻しすぎだ」


「別に第一でも第三でもTシャツの糸くずでもいっそズボンのチャックでもいいからさ!
「変態かよ」
「ひっどーい!まぁ、其処はあえて否定しないけど…ってそんなことじゃないの!」
「其処は否定しろよ、女として!」
如何でもいいからそんなこと!ほらほら親友のちゃんに愛情を込めて!」




右手を差し出してチョーダイのポーズを取るととうとう観念したのか一護は溜息を吐いて、それから最初に欲しがった第二ボタンをくれた。(愛情ってところにツッコミなしですかそうですか)(ツッコミ疲れたんだよ)流石一護、優しい奴め。こういうのは大抵好きな人とか彼女とかにあげるのが道理なのだけど、親友のあたしにちゃんとくれるなんて!仲間想いのイイコなんだもんね、一護は。あたしの右手の上にコロンと転がった第二ボタンをしっかり握り締めて、それから一護に背を向ける。




「有難う、一護。これであたしは寂しくないよ」
「馬鹿言ってんじゃねぇよ、夏休みとか帰ってこれるだろ」


「そうだね。……それじゃ、あたし、…このボタンを高値で売ってくるね!(よーい、)」


「………は?」
「(どん!)しーゆーあげいーん!」




心の中の合図に合わせてあたしはそのまま前に走り出す。その数十秒後一護はきっと追ってくる。この先の公園で、待っていてあげようか。そしたら今度はあたしの何かをあげよう。ブラウスの第二ボタンとかいいかな、きっと赤面するだろうな!(ま、売るっつーのは嘘だけどネ☆)(マジであってたまるか!)











青春ごっこ



第二ボタンの行方



(いつ逢えるかわかんないってのは、いつでも逢えるってことなんだよ。てことで、学校サボって逢いに行くね、一護!)(迷惑だ!)




[2007/03/21][リロ様へ!]