「馨なんか嫌い。死んじゃえ」 の言葉に僕ははぁと軽く溜息を吐いて肩を竦める。なんて可愛いんだろう。僕が別の女子と話しているだけでこんなに嫉妬してくれるなんて。だから僕もつい、わざと彼女の目の前で他の女の子といちゃついてしまう。(でも死んじゃえは酷くない?)は嫉妬深い。そんな醜い感情も簡単に面に出すところが僕は好きだ。僕が思わず笑みを漏らすと「何笑ってるの、馨。あたしは怒ってるの」と低い声を出して僕を睨みつける。僕はやれやれと思いながら、何時もの台詞を繰り返す。 「そんな嘘吐いても無駄。は僕が好きで僕はが好きなんだよ」 「嘘じゃない」 「嘘だね」 「なんでそんなキッパリ言えるのよ」 「僕、自信はあるから。は僕のこと好きなんだよね?」 僕が笑ってそう言うと、は心底悔しそうな顔をする。(そういう顔も好きだ)ほら、図星。は結局僕のことを嫌いになんてなれない。僕にはその自信がある。だって、僕がにベタ惚れなようにも僕にベタ惚れなんだよ。ほら、だからそうやって嫉妬をして毒を吐くんでショ? 「馨なんか…どっかいっちゃえ!嫌い!」 「ハイハイ。じゃあ姫のご希望通りどっかに行きますよー」 僕はそう言って、軽く手を振りに背を向け扉の方へ歩き出す。だけどそれはが僕の服の袖を掴んだことで簡単に拒否された。素直じゃないなぁ。 「…何?どっかに消えて欲しいんじゃないの?」 「判ってるくせに!……あたし、馨のそういうとこ、嫌い」 「僕はのそういう意地っ張りなところ好きだけどネ」 「…馬鹿、大好き」 「じゃあ、さっきの訂正してよ」 流石に僕でも「死んじゃえ」は傷つくんだから。僕がそう言いながら抱き締めると、耳まで真っ赤になったが「ごめんなさい」と呟く。素直なところも好きだな。あ、なんだ僕って結局、の全部が好きなんじゃないか。 |
僕の存在意義