わたしのクラスには一人だけ年上の人がいる。髪の毛はオレンジ色でちょっと目つきと口が悪いので皆はあんまり関わらないようにしているんだけど、彼は話し慣れた人になら結構人懐っこい性格で優しいことを、わたしは知っている。なので毎日のように話しかけていると友達は言うのだ。「大人しそうな顔して結構積極的だよね」如何いう意味ですか。わたしだって恥ずかしいことは恥ずかしいとは思うし、実は話しかけるにしても声が震えているんだ。だけどわたしみたいな人はそうしているとずーっと話せないまま片想いで終わってしまいそうだから、そんなのは嫌だから話しかけているのだ。(わたしがそう言うと友達は皆「そういうのが積極的って言うんだよ」と言う。だけどわたしは積極的、と言うのとは何かが違う気がする)そんな彼が、暫くの間行方不明になり、ある日ひょっこり帰ってきた。 「あ、、」 「もももももももりむらくん!?(え、なに、これ幻覚!?)」 「なんだ、久しぶりじゃねぇか」 「久しぶりもなにもっ。森村君が勝手に行方不明になってただけじゃないっ(幻覚じゃない!本物!)」 「ま、それもそうだな」 久しぶりに逢ったというのに、毎日一緒にいたかのように普通の会話。それだけなのにわたしの心に暖かい何かが流れ込んでくる。それが無性に嬉しくて、わたしは涙が出そうになる。 「心配、したか?」 「あ、あ、ああたりまえだよぉ…」 「悪かったって。泣くなよ」 「だ、だってぇ…森村君、急にいなくなるからあかねちゃんと愛の逃避行でもしちゃったのかと思って…」 「してねぇよ。第一詩紋もいたし」 「いなかったらしてたんだ!」 「だからしねぇって」 いまいち話が噛み合わない。だけどこれがわたしたちの普通で、わたしの大事な生活の一欠けらが戻って来たのだ。泣き出してしまったわたしをあやすように森村君は背中をとんとんと叩いてくれる。それが心地よくて、ああ、戻って来た、幻覚なんかじゃないんだとさらに安心させてくれる。 「もう、一生、逢えないかと…っ!!」 「バーカ」 「ばばばばかとはなんですかっ、私はほんとに…大好きな森村君がどっかに消えちゃってて、すっごく、寂しかったんだから」 「はいはい」 「大好きな森村君…ねぇ?」少々小馬鹿にしたような感じで森村君は私の言ったことをもう一度繰り返す。は、は、は、はずかしい。わわたし、ままままた、こんなことを無意識にっ!赤面するしかない私は思わず森村君に背を向けて、頬を両手で覆った。穴があったら、入りたいよ。だけど、森村君に「」と名前を呼ばれてふっと思わず振り返ると、笑っている森村君がいて、私は思わずきゅん。 「ただいま」 「お…おかえりなさい!!」 [2007/02/01] |