私のお兄ちゃんは飛び切り優秀だ。最年少で隊長格となり強く逞しくカッコイイ。でも背が結構低いからどちらかというと可愛がられてる節もあるけど。でもなんだかんだで戦ってるところとか超カッコイイので私はシロ兄が好きだ。好きだ。大ッ好きだ!(阿散井副隊長に「シロ兄ってカッコイイから、妹の私の立場が色々危ないんだよね。ほら、やっぱり兄妹だから比べられるじゃない?でもまあ実際シロ兄は頭が良くてカッコイイから仕方がないんだけど」って愚痴ったら惚気って言われた上にブラコン呼ばわりされた。)ああでも私とシロ兄はあれなんだよね。俗に言う兄妹(俗に言わなくても兄妹なんだけど!)で、こういうのってキンシンソウカンって言うんだよね。イケナイことなんだけど気にしないわ!だって如何あっても私はシロ兄が好きなことには変わりないし、シロ兄以外の人を好きになるなんて出来ないもの。だからグズグズ悩むのは諦めた。悩んだところで如何にもなるまい。あ、でもこの感情がシロ兄にバレて引かれたら嫌なのでこのことは一切シロ兄には伝えないのである。絶対に! 「シーロ兄っ!」 私は思い切りシロ兄に抱きつく。ぶっちゃけちゃうとシロ兄より私の方が背が高いため、抱きつきやすいのだ。綺麗な銀髪の髪、惚れ惚れしちゃう。私と同じ色の髪と言えど、やっぱりシロ兄のほうが綺麗なんだもの。シロ兄は眉間に皺を寄せてこっちを振り向く。きゅん、カッコイイ。 「…遊びに来るなって何時も言ってるだろ?」 「いやだいやだいーやーだー。シロ兄と少しでも長く一緒にいたいから死神になったのに逢えないんじゃ意味ないもん」 「煩いブラコン」 「ぶーっ。どうせ私はブラコンですよーっだ」 「とりあえず今は仕事の邪魔だ。出てけ」 「絶対嫌」 冷たくされても私はそれを軽くあしらう。だってシロ兄が本気じゃないってことくらいは長年の経験で知ってるもん。さらに首に回している腕をギュッと強くすると、シロ兄は大きくて深いふかぁーい溜息を吐いて続けて仕事に没頭する。あ、私まだ仕事の途中だった。うーん、でもシロ兄と仕事だったら私はシロ兄の方が優先順位は当然高いんだよね。と、其処でガチャリと扉が開いた。隊員たちが見たら吃驚するだろうか、誤解とかされちゃう?そんな風に期待しながら扉の向こうを見ると、松本副隊長がお盆にお茶を3つ乗せて立っていた。松本副隊長は私たちの関係と私のブラコン度合を知っているので(そりゃあしょっちゅう遊びに来てるしね!もうお友達!)誤解とかそういう期待は淡く淡く私の胸の奥へと消えていった。まぁ、いいけどね!知らない隊員さんたちよりも松本副隊長が来てくれた方が安心だもの! 「あら、。やっぱり来てたのね」 「やっほー副隊長!お茶有難う!」 「如何いたしまして〜。って、仕事はいいの?」 「う、うんもう終わった…よ?」 ふ、副隊長だってしょっちゅう仕事サボってるくせに、こういう時はもう普通に突っ込んでくるんだから!冷や汗かいて目線逸らして答えてるもんだから確実にバレてる。バレてる…バレてるよ!シロ兄の霊圧が一気に変わる。低い声で私の名前を呼ぶ。こ、怖いよ、こういう時のシロ兄はすごく怖い。長年の経験上知っている。ゆっくり私のほうへ振り返るシロ兄の首、頭にはお馴染みの怒りマーク。思わず首に回している腕を解いて、拳銃かなんかを突きつけられて怖がっている被害者みたいにパッと手を挙げた。 「…………」 「は、はい…な、んでしょう…日番谷隊長…?」 「さっさと仕事へ行け!!!」 「はははい!!」 悪寒が走って背筋がピーンと立って、早急に扉のほうへ走った。ああ、怖い。何時までたってもシロ兄のこの低い怒鳴り声と何時もより眉間の皺が寄っている顔には慣れない。あーあ、もうちょっとシロ兄の傍にいたかったな。だって非番の日だってなんだかんだで真面目なシロ兄は私と遊んでくれないし、家に帰っても私早く帰っちゃうから逢えないし。はぁーあ。怒られちゃうし。小さく溜息を吐いて外に出ようとドアノブに手をかけると、私の大好きでたまらない声と優しい台詞が飛んできた。 「仕事終わったらまた来いよ。そしたら相手してやる」 「―――うん!」 ああ、兄妹なんて関係ない。やっぱり 大 好 き だ ! 赤信号を 青に変えよ! 「隊長も、なんだかんだでシスコンですね」 「うるせぇ」 [2007/01/16] |