あたしには好きな人がいる。ぶっちゃけちゃえばあたしの上司の日番谷隊長だ。(キャー言っちゃった!ったら口が軽いんだからんっ!)だって彼はカッコイイしカッコイイしカッコイイしカッコイイしカッコイイしカッコイイし(まぁ要するに重要視するところは顔ってことね!)、威厳のあるようなあんな雰囲気がもうビリビリきちゃって素敵で(言っておくがあたしはMではない)、でもなんだかんだで部下が危ない目に遭う時は助けてくれたりして正義感が強くて優しくて(そんなところもス・テ・キ!)、あたしより背がかなりちっちゃいのが欠点だけど其処はあえて気にしないわ!(男は背じゃないの、背じゃ)でもあたしは結局彼の部下であってそれ以上でもそれ以下でもなくて、つまりあたしの恋は絶望的なのだ。


隊長には雛森桃ちゃんっていうかっわいらしい幼馴染がいて、今でもあたしは隊長が彼女に惚れてないか心配なのだ。だって桃ちゃん可愛いし可愛いしイイコだし、思わず撫で撫でしたくなっちゃう!でも桃ちゃんは藍染隊長にゾッコンラブであたしに相談とかしてくるし、両想いの心配は全くないのだけど。だからと言ってあたしにチャンスが巡ってきたわけではない。もしかしたら隊長の一生片思いで、あたしのことなんか見向きもしないかもしれないのだから!てゆーか、そもそもあたしは隊長とそれほど仲良く話す方じゃないのだ。なんていうか、根が真面目だからかな?(自分で言うな!とか言っちゃダメだよ?)副隊長みたいにサボろうって気になることは一切ないのよね。だから案外隊長に怒られる回数は少ない。やっぱり他の人が怒られてると、「あー隊長に構われていいないいないいな!!あたしも怒られたい!」って気分になるんだよね。(この度にやっぱりあたしはMなんだろうかと思うが、否定しておく)




「ということで、副隊長!一緒にサボりませんか?」
「あのねぇ、、いくらなんでもこんな堂々とサボり宣言するものじゃないと思うんだけど」
「でも…あたしだって副隊長みたいに遊びまわってサボって挙句の果てに隊長に怒られたいんです!!隊長に構われたいんですよ!この気持ち、副隊長だって同じ女なんだからわかるでしょう!?」
「ちょっとそれ、褒めてるの?貶してるの?どっち?」
「褒めてるんです!副隊長はいいですよね、隊長に怒られまくってて。怒られてなんぼです。」
「怒られて喜ぶ人なんて初めてこの眼で見たわ」
「副隊長はそれでも恋する乙女ですか!?馬鹿馬鹿副隊長…!そんな副隊長に相談持ちかけたあたしも馬鹿です…」
「あーもう判ったから!泣かないでよ!」




お昼時。あたしが松本副隊長に恋の相談に乗ってもらう時間帯だ。そして今日はサボりの相談。サボりだって一人ぼっちじゃ寂しいもの!副隊長ならこの乙女の気持ち判ってくれると思ってたのに、幻滅だっ…!今度から相談相手変えようかな…。そう思いながらパクパクちゃっかりお弁当を食べながら泣いていると、副隊長はあたしの肩を摩る。なんだかんだで相談に乗ってくれる副隊長…ああ大好き!(あたしって如何してこう、現金なんだろう)と副隊長の滅茶苦茶豊富な胸に飛び込んでわんわん泣いた。勿論嬉し泣き。泣きながら、なんで副隊長の胸ってこんなにデカいんだろうあたしなんかぺちゃんこなのに、どうせなら胸はデカい方が有利よねとか、あーあ隊長早く帰ってこないかな…あ、でも泣き顔って不細工なのよね、だったらまだ帰ってこないで!とかまたくっだらないことを考えていた。とそんなところで、あたしの運の悪さは最強な上に最凶で、考えてた通りに、隊長が帰ってきてしまった。




「「あ」」
「………何、やってるんだ?」
「え、ええと…あ、愛の抱擁を……」
「アホか!昼休みは終わっているんだ、早く仕事をしろ!!」
「ひゃい!」




ああ、透き通る声でその怒声。怖いけど、すてき。3ヶ月ぶりに聞いたこの怒声、聞き惚れずにいられるでしょうか。怖がりながらもうっとりして、あたしは自分の席に戻る。わざわざサボるまでしなくても構って貰えた、それだけであたしの心は一杯一杯幸せなのだ。こんなあたしの日常、あたしの恋は一歩も進歩せず。




























「……隊長、って絶対Mですよね」
「……………………は?」




[2006/12/27]