最初はただ試験に向けて僕の部屋で勉強をしていただけのはずなのに、何時の間にか僕の横で疲れては眠ってしまっている。僕はその可愛い寝顔を見る度に胸を高鳴らせる他ないのだ。一体なんの拷問なんだろう。気付いたらに向かって手が少し伸びている。あれ、僕手なんか伸ばしたつもりなかったんだけどな。無意識?怖いなぁ、それ。そのうち無意識に理性も一緒に手放しちゃいそうで。とりあえず今は僕の理性が飛ばないように、を起こしにかかる。 「おーい。〜?早く起きてよー」 「………」 「、ー。早く起きないと、襲っちゃうよっ」 ペチペチと頬を叩くが反応なし。それにまた無意識のうちに変なこと口走ってるし。もしかしたらもう限界に近いのかもしれない。可愛くて無防備な彼女の寝顔なんて見たら誰だってこれくらい可笑しくはなるだろう。それにしても、これだけ熟睡しているということは安心されているということなのだろうか。それは男として如何なのだろう。やっぱり僕はの彼氏という立場にいるんだし、出来れば危機感を持って欲しい。僕相手に安心してくれるのはすごくすごく嬉しいけど、男に見られているか多少心配になるんだよ。ねえ、。判ってる? 「……んー」 「っ!」 吃驚した。起きたのかと思ったらただの寝言か。これじゃ暫くは起きそうにないな。一回落ち着かなければならないのに、が隣にいるこの状況じゃ如何にも落ち着けそうにもない。僕の身が持ちそうにないから、一度この部屋から離脱しよう。馨に話せばきっと上手く立ち回ってくれる。 「……ひ、…る」 そう思って立ち上がろうとしたのだけれど、流石は、僕が見込んだ女なだけある。寝ているときも勘がいいのか服の袖を掴まれて立つにも立てなくなってしまった。だけどそんな可愛い声で名前なんて呼ばれたら 止まらなくなるじゃないか。 「(キス、だけだからっ!キスだけ!)」 そう自分に言い聞かせて、僕は寝転がっているの上にそっと覆いかぶさり、唇と唇を合わせた。何時もしている行為なのに、こういう時は何でこうも恥ずかしいのだろう。僕はいてもたってもいられなくて、唇を押さえて部屋を出て行った。僕の我慢は、なんだったのだろうか。 「…ヘタレ光」 僕が出て行った後、がこっそりそう呟いたことを僕は知らない。 |
眠り目醒めぬ 姫様に儀式を