って僕らのこと好き?」
「ふぇっ!?……え?ど、したの…行き成り」
「だってって何時も受身なんだもん」
「…うけみ…?」
「大体さーキス1つくらい僕らにしてくれてもいいんじゃない?」
「そうそう。あと、甘えて欲しいよね。『好き』とか言ってさ」
「キっ…!?好…っ!!?」
「「おぉ、上手い具合に言葉が繋がってる」」




無理なことを言わないでほしいと思う。大体、甘えて『好き』だとか言ったりキスする私なんて私じゃない。…そんな恥ずかしいこと出来ない上に、私がやったら気持ち悪いだろう。他の女の子たちなら絶対的に可愛いけど。なのに目の前にいる二人は一歩も譲らないぞとばかりにニヤニヤとした笑いで私を追い詰める。私は必死に、「無理…だよ」とくらいしか呟けなかった。すると二人のニヤニヤとした笑みは消えいて、気付けば悲しそうな顔になって俯いていた。




「そっか…は僕らのコト愛してくれてないんだね」
「僕らはこんなにのこと大好きなのに、」
「「僕らのことは遊びだったんだね、酷いや」」




そう言って二人はお互いを抱き締めあって、泣くように私に訴えるのだ。行き成りの発言で吃驚して固まっている私をよそに、二人は「って実はドSなんだ。僕らのことを弄んで捨てて楽しむんだ」「実は凄い女王様気質なんだね。大人しそうで可愛い顔してすっごく酷い女だったんだ」なんて会話を進めている。ようやく覚醒した私は、急いでその誤解を解くが如く口を動かした。




「ち、ちが…っ!私二人のことす…」
「「す?」」




其処まで言うと、お互いを見合っていたはずの二人の視線は私に向けられていて、さっきのニヤニヤと悪戯に笑う顔に戻っていことに気付いた。しまった。は、ハメられた…!誤解じゃない、わざとだ、この人たち!だけど時は既に遅し。二人は絶対に言わせるぞ、とお互いに回していた腕を解いて、私の両隣の壁に手を着いて逃げられないようにしていた。ハルヒ君がいたら止めてくれるのだろうけど、今はその肝心の人はいない。三人ぼっちなのだ。なので私に逃げる術は、ない。




「す…何?」
「まだ続きがあるんでしょ?言ってよ」
「…す、……」




二人は意地悪だ。先が判っているくせにあえて言わそうとしているのだから。早く、言わなくちゃ。大丈夫だよ。ただのサ行の3番目とカ行の2番目の文字を言うだけじゃない。言えるよ、うん、大丈夫。そうして深呼吸をし、それから半幅ヤケ気味な感じで言葉を告げた。




「好きだよっ」




すると二人は満足した風に笑って、「「よく出来ました」」と言って私を抱き締めた。…なんだか、見事にアメとムチを使いこなされてるみたい。ちょっと悔しいけど、今は私も幸せだから笑っておこう。











イヴの




しごと







「「じゃあ次はキスだね♪」」
「ええっ!?」




[2006/12/10]