「いやだ、私はお仕置きする側がいい」「俺もする側がいいんだけど」「「…」」

「ちょっと聞いてよ浜田ぁぁ！！！」

同じクラスの浜田良郎くんは私のよき恋愛相談相手です。私には相談せざるを得ないことが山ほどあります。てゆーか、私彼氏との相性悪いと思うんだよね。あ、彼氏っていうのは泉孝介くん、ツンデレくんって呼んであげてね、死ぬほど嫌がるだろうから☆★嫌がるツンデレっ子の顔、ああもう想像するだけで背中がゾクゾク、快感の渦に巻き込まれるわ！…って話の内容がズレてしまった。まあ、とりあえずですね。私とツンデレくんの相性が悪いのはですね、原因はわかってるんですよ。原因は、

「なんで私も泉もS属性なのよぉぉぉ！！！！」
「…、頼むからそういうことを教室で大声で叫ぶなよぉ！」
「誰もいないからいいでしょ！」
「そういう問題じゃなくて！」

そうなんです、私も泉もどちらかというとというかぶっちゃけ確実なサディストなのです。いや軽い嫌がらせ程度なら可愛いもんですよ、ほんとに。でも私たちの場合はプレイの思考が如何とか手錠使わせろとか怪我させたいとか泣かせるぜベイベ☆★とか今日は俺が私が上なんだとかピーとかピーとかピーとか！（あれ、今なんだか雑音が入ったぞ！）（まあいっか！）そんなことで喧嘩なんかしょっちゅうです。この前は、泉の私に対する扱いがあまりに酷いので激怒しました。いやだって、放置とか放置とか放置プレイとかね、ありえないでしょ、彼女に対して！ちょっとムカついたので泉の机の中に毛虫を入れておきました。小学生男子か！って浜田に怒られた、しゅーん…。知ってますか、Sって打たれ弱いんですよ。相手を攻めて攻めて攻めまくるのがSの役目ですから、逆のパターンってあんまりないんです、だからちょっとしたことでも結構落ち込んだり傷ついたりするの！泉はそれをわかっていてやってるからちょっといやかなり性質が悪い。…いや私も同じだけど。（だって打たれ弱いから虐め甲斐があるんだもん）（サディストはマゾヒストを虐めるよりサディストを虐めるほうが好きなんだよ）でもでも、男なんだからもうちょっと女をいたわるべきだと思うんだよね。今度根性焼きでもしてやろうかな、痛がる顔が見てみたい！（あ、勿論煙草は吸わないよ、身体に悪いもんね！）でも私がやろうとすると「俺がやるんだ」とかなんとか言ってきっと煙草を取り上げて私の腕にこんがり火傷の痕をつけるに違いない、だって泉孝介はSだもん。ああ、悔しい！私も泉もSなのに、泉が男で私が女であるがゆえに泉の方が優勢で私の欲望が満たされたことなんて数少ない！レディーファーストを心得たジェントルマンには程遠い存在だね、ツンデレくん！

まぁ、それは兎にも角にも。喧嘩するほど仲がいいってよく言うじゃん？それは的を得ているとは思うんだけど、でもこんな喧嘩がしょっちゅうなものだからストレス発散に浜田に恋愛相談してるっていうわけで。

「なんで泉なんだろう…！私のタイプとは真逆なのに！」
「まぁ、好きなタイプなんてそんなもんだろー」
「虐め甲斐のありそうな三橋とか好きになればよかったのに、そしたらワンダフルライフなのに」
「いやいや、それはちょっと考えようかさん」
「えーなんで」
「そんなことしたら三橋が不登校になっちゃうだろ！可哀相だろ！」
「でも泣き顔とか可愛いし」
「サディスト！変態！」

オレはそんな風に心をズタズタにされていく三橋を見たくないよ！口には出してないけど浜田は私にそう訴える。ちぇ、いい案だと思ったのにな。でも、確かに三橋相手だと良心が痛むかもしれない。だったら他には誰がいるかなぁ。同じ野球部だったら水谷とか花井とか。（でもこの二人はパッと見だとMなのよね）阿部とかも試しに泣かせてみたいけど、きっと泉と同じタイプだから駄目かな。あとは、八組の山田くんとか手芸部の田中さんとか。（って待て待て私。田中さんは女だ）軽いSだけど私よりも格下の人間がいいな、虐められるのをすごーく嫌がるような素振りをするのだが私に逆らえない、という人が私の理想だ。…あ。

「ねーねー浜田ー」
「んー」
「私と付き合ってみない？」
「ぶーーー！！」
「うわ、きたなっ！」
「だ、だ、だってお前……ぜぇぇぇえぇぇったい嫌だ！」
「…そんなに否定しなくても」
「お前のその目は何するかわかんねーし！それに泉に殺されるから！！」
「そうそう」

浜田と話していたはずなのに、行き成り出てきたのは第三者の声で、もう死ぬほど聞きなれた声で、後ろを（見たくないけど）振り向いてみたら、仁王立ちの泉孝介もといツンデレくんが。あれ、頭に怒りマークが見えるのは気のせいかな？

「、お前外で待っとけっつったよな？」
「私課題あるもん。それに寒いから嫌って言ったもんね」
「お前に拒否権はなしだ」
「私にだって拒否権くらいあるもん、泉の家来じゃないんだから！」
「へぇーえ。何々、今日はスペシャルなお仕置きがされたい、と」
「誰もんなこと言ってねーー！」

泉くんもといツンデレくんはにっこり意地悪っ子スマイルで私の腕を掴み（痛い痛い痛い！手加減しろよ！）強制的に教室から連れて行く。ちょっとちょっとイズミクン？私まだ先生に頼まれた課題が終わってないんですけど、私終わらないと帰れないんですけど、てゆーかやらないと私が先生に怒られるんですけど！「今までくちゃくちゃ喋ってたやつが何言ってんだよ。おら、行くぞ」えええちょっと待とうよツンデレくん！私あなたにお仕置きされるのも先生に怒られるのもすっごくすっごく嫌なんですけど！てゆーかあんたは絶対私が怒られてるところ見て楽しそうに笑うんでしょ、そうでしょ！くっそー、泉孝介もといツンデレサディスト！いつか絶対泣かしたる！覚えとけ！

S
　uper

　　S
　　　　adism

　　S
　　　　　　　pecial

「オレはある意味お似合いのカップルだと思うなぁ」

[2007/11/29]