「あー元希ってあんなにカッコいいのに何で俺様なんだろう!あの性格さえなければオールオッケーなのに!」 「俺としては、文句言ってるくせに付き合ってる先輩のほうが『なんで』って感じですよ」 「いやん、それは聞かないで!あたしMだからアイツのSっぷりに悦んでるだけなの!」 「……」 隆也くんのあたしを見る眼がとてつもなく冷たい。(やばい、ごめん元希!あたしこの冷たい目にちょっと悶えちゃった!)…ほんとのことなんだからしょうがないじゃない。元希のドSっぷりはあんたも知ってるでしょ。アイツ、ベッドの上ではあたしを苛めるくせに、マウンドの上じゃあ隆也くんを苛めてるってもっぱらの噂よ?(まぁそれは元希の球が速くて、それを受ける時に取りこぼしたり衝撃を受けすぎて傷跡になってるだけなんだけどね!)(最近はそういうの減ったっぽいね、隆也くん進歩じゃん!)まぁ最近はかなり荒れてたからセックスもかなーり荒かったけど(ついでに球も荒かった、隆也くんお疲れ)、落ち着いては来たしまあいいかなみたいな!だからまあ要するにあたしはMなんです、元希専用のM(といっても他の人の冷たい言葉や視線も悶えちゃうけど)なんです、如何だ参ったか!(何を要したのか何が参ったかなのかはよくわからないけど!)それでも尚隆也くんはあたしのことを不審者を見るような眼で見つめてくるものだから、ちょっと(嬉しいけど)気に喰わないのでデコピンをお見舞いしてやった。 「いって!」 「隆也くん、そんな眼で先輩を見るんじゃありません」 「じゃあそういう眼で見られるような行動をしないでください」 「いーじゃない別に誰がSかMかってことくらい。心の大きい人間にならなきゃ駄目だぞ☆」 「ハァ…先輩には羞恥心とか常識ってもんがないんですか?」 「失礼な、あるわよ(つーかこの人溜息吐いたよ!?)」 「そーには見えませんけど」 「あるって言えばあるの!例えば…元希に公衆面前にチューされた時とか」 あー、あと羞恥プレイとかなんとかで道具を使われた時ね。さらに詳しく言えば一番恥ずかしかった道具は鏡かな。それから、…あ、そうそう。バスとか電車とか路地裏とかそういうところでアイツヤりたがるのよねぇ。「人がいると思うと興奮しねぇ?」って、しないわよ、こっちは恥ずかしいだけだってーの!流石にあれは思い出すのも恥ずかしいからこれ以上は言えないけど、あれは本当…屈辱的だったわ。それから、そうそう、ランジェリーショップにブラジャー買いに行こうとしたら着いてきた時かな。男がランジェリーショップってさー、明らかに変態じゃん。その変態といるあたしはすっごい恥ずかしいのよね。正直恥ずかしくて死ぬかと思ったよ。それでアイツ平然と「あ、これに似合うんじゃねー?今度ヤる時着せたいなァ」なんて変態か!つーか着ないっつーのそんなスケスケの下着なんて!あの馬鹿変態榛名元希!そうしてあたしが恥ずかしがって嫌がってるのを見て楽しむのがあの元希なのよね、まあ結局Mなあたしも悪いんだけど。でもしょうがないといえばしょうがないのよね、あたしってばMだから。ドMってほどじゃないけど嫌がってる素振りしててMだから。ちょっとだけこんな変態に生まれてきちゃった自分を後悔した瞬間ね。そーいえば聞いてよ隆也く 「ストップストップ!!!」 「何よー。隆也くんがあたしに羞恥心がないっつーから、あたしは恥ずかしい過去を思い出してあんたに正直に告白してあげてるんじゃない。何か文句ある?」 「大有りです、てゆーかそんなに恥ずかしいならわざわざ告白しないでください!」 あたしの口を一生懸命押さえている隆也くんはなんだか顔を真っ赤に染め上げていて、ああこの子は純粋なんだなぁなんて思いながら見つめてしまった。本当、純だね、こんなことで赤くなってちゃ駄目だよ。だって世の中、男も女もみーんな変態なんだから。君だってきっと夜に自分の部屋に閉じこもって好きな女の子をおかずにあはんなことやってるんでしょ。今はまだやってなくても、きっとそーやる日が来るのよ。…元希みたいに。(アイツセックス出来ない日はあたしをおかずにしてるんだよ、変態が!)あたしの口から手を離して、ごほんと隆也くんは咳払いをする。 「とりあえず、先輩には羞恥心はあったけど常識はないってことがよーくわかりました」 「常識くらいあるわよ。例えば、」 「例え話はもういりません」 何よ、元はといえば隆也くんがあたしに常識がないとかなんとか言うから、あたしがあたしに常識があることを教えてあげてるんでしょーが。全く、本当に生意気な後輩だわ。はあ、っと溜息を吐いたところで、あたしの変態彼氏があたしの名前を呼ぶ声が聞こえた。 「、待たせたなー…って何やってんの、お前ら」 「なんでもないんでさっさと帰ってください、この変態バカップル」 「なにをぉ!」 あたしの「隆也くんは人をいたわる心を持ちなさいよー!」なんて叫ぶ声なんて一切無視して小さくなっていく隆也くんを見つめていると、コツンと何かが頭に当たる。何かと思って見上げると少しだけ不機嫌そうな顔した元希が「妬かせたいの?」と言って、手をグーにして軽くあたしの頭に当てていた。(…かわいい)(なんて言ったら、絶対建物の裏に連れていかれて野外プレイだ) S size ×
M size まぁ結局は、MなあたしにはSの元希が似合ってるということで! [2007/11/01] |