どっちが好き?なんて聞かれたらきっとわたしは答えられない。だからといってわたしはどっちでもいいわけじゃないのだ。光君には光君の良いところがあって、馨君には馨君の良いところがあって、決してどっちでもいいんじゃなくて、わたしはどっちも欲しいのだ。欠けていては駄目、二人一緒じゃなきゃ嫌。わたしは、裕福な家庭で育ってきたせいか変なところで我侭なのだ。だからわたしは、今非常に困っている。 「ねぇ、どっちが好きなの?」 「正直に答えてよ」 逃げられないように左右から抱き締められて、耳元で囁かれて。わたしは声も出すことも適わない。答えられないよ。だってわたしは、二人とも同じくらい好きなんだ。光君の我侭で人を振り回している明るい笑顔が好き。馨君の密かな大人っぽさと優しいところが好き。同じだけど違う二人が、好きなのに。どちらかを決めなければならない? 「…二人とも、同じくらい好き…じゃあ、駄目?」 「「だーめ」」 そんなこと言われても。答えることなんて出来なくて。 わたしが黙ると、二人は暇らしく、そのままもう一度「どっち?」と責めるように聞いてくる。答えられない。だって、わたしは本当に二人のことが好きなんだもの。だけど二人とも好きというのはもしかしたら二人とも好きじゃないという意味にもなるのかな。ううん、そう捕らえる考え方だってあるかもしれないけれど、わたしはどっちも好きなのだと断言する。どっちでもいいんじゃない、どちらかが欠けても嫌。二人が一緒じゃなきゃ。 「わたしは、光君も馨君も好き」 「「だから、それじゃ駄目だって」」 「それでも、わたしは二人とも好きなの。どっちかなんて選べないし、選びたくない」 「しょうがないなぁ、我侭なんだから。ま、予想はしてたけどね」という声が聞こえた。なんだ、予想してたんならそんなしつこく聞かなくてもよかったのに。 「でも、やっぱり本人の口から聞くと嬉しいよね」という声も聞こえた。それが聞きたかっただけで、わたしは二人に振り回されて悩まされたの?全く、罪な人たちだ。 それからわたしを再び両サイドからギューと抱き締めると、わたしの身体の体温は上昇して、それからその体温の心地よさに溶け込んでいった。やっぱりわたしは二人と一緒がいいな。光君も馨君も我侭だけど、わたしはきっともっとだ。 我侭 フィーバー [2007/02/17] |