「季史さん!ほら、雪が降ってますよ!」




私が空を指差してそう言うと、季史さんは微笑んでくれた。何時も私たちを出逢わせていたのは雨だった。だから、こんな風に雪が降るのを見れる日が来るなんて、全然私は、思わなかったんだ。手をそっと出せば、雪が降ってきて私の手の体温で溶ける。そう、それはきっと季史さんでも同じこと。




「そなたは暖かいのだな。降り積もる雪も、こうして直ぐに溶けていく」
「季史さんも、ですよ。ほら、ちゃんと体温を持っているから」




私が季史さんの腕を持って、積もっている雪に触れさせてみると私と同じように溶けていく。それは当たり前のことで、私はそれがとても嬉しいのだ。こんな時間が私はずっと、欲しかったのだと思う。愛しい人と過ごす、穏やかな時間が。




「あ、でも季史さんちょっと手が冷たいです」
「……すまない、冷えるだろう」
「いいえ、冷たいのなら繋いでしまえばいいだけですよ」




手を絡めて、彼の隣を歩く。冷たかった手と私の手が触れ合って、少しずつ体温を増している。ねえ、私今、











「幸せ、です」










トナリの





[2006/12/30]