いっちゃん、いっちゃうんだ。 ああ。ちょっと用事でな。 遠くに、遠くに行っちゃうんだね。 ……まぁ、な。 何処に行くのか、私には教えてくれないの? …悪い。 ………言うと思った。まぁ、いいや!ちゃんと帰ってきてね。 判ってるって。 約束破ったら、私の方から逢いに行っちゃうんだから。 …何処に行くつもりだよ、お前。 いっちゃんのいるところなら、私絶対判るもん。絶対行ってみせるよ。 あーはいはい。無茶はすんなよ。 いっちゃんこそ。ぜーったい朽木さん連れ戻してね。 ……………は!? あれ?違うの? ま、間違っちゃいねぇけど…お前、ルキアのこと覚えてるのか? うん。なんかみんな忘れちゃってるみたいだね。変なの。あんな美人さんを忘れちゃうなんて。 ………。 どうしたの、いっちゃん?頭抱えて。 いや、なんでもねぇ…なんでもねぇから。 ね、ね!朽木さんってもしかしてお嬢様の家の方なのかな。 …は?(何言ってんだコイツ?あれがお嬢様?) だって口調もそれっぽいし美人だし。それでもしかしたら政略結婚とかさせられそうで、SPの人が皆の記憶消したのかも!素敵! …何処がだよ。 でもでも私は、朽木さんとはまだもうちょっと一緒にいたいから。いっちゃん、ぜーったい連れ戻してきてよ?政略結婚なんてさせられないように! ……あ、ああ。(もう如何とでもなれ) いっちゃんも帰ってこなくちゃダメだからね。私、結構寂しいんだから。 おう。 髪の毛のことで苛められたら、私のこと呼ぶんだよ? 呼ばねぇよ!そんなくっだらねぇことで。 チェッ。 んじゃ、そろそろ行ってくる。 ん、行ってらっしゃい。 きみが いない夏 「ねぇ、いっちゃん。もし、私が朽木さんと同じ状況だったら、助けに来てくれる…?」 [2006/12/10] |